903人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
拝啓、お母さん。
アナタの娘の琴葉です。
現在私は激しく意味不明な出来事に遭遇しています。思えば朝、優くんが御守りをくれた時から、おかしかったと思います。
だって優くんが、あの優くんが、私にプレゼントをくれたのです。明らかにおかしいと思います。
そんな感じで教室の真ん中で悶えても、誰も何も言ってくれない。
だってみんな、止まっているのだ。まるでビデオの一時停止のように、みんなの動きが止まってる。
「これは・・・まさかこれがカオスの仕掛けた罠なのっ!?」
昨日学校に来いと言ったのは、そういう意味なのか。
でも、これって何の意味があるの?
「それはね、ちょっとした余興なんだ。
普段の日常から突然の惨劇。楽しい、楽しいねぇ。やはり悲劇は突然が一番だよ。」
いつからそこにいたのか、スピアが笑顔で立っていた。その手にはやはり槍があった。
「何の、用ですか?」
「イヤだなぁ。宣言したじゃないか。僕は君だけを殺す、そう誓った、誓ったんだ。」
マズい。これはかなりマズい。
戦って勝てる相手じゃない。
そうなると・・・
私は全力で走った。一気に教室を飛び出して廊下を走る。逃げ切れる保証はないけど・・・
「あぁ・・・残念、残念だよ。君は今日ここで間違いなく、死ぬんだ。」
私の前に立ちふさがるのは二人の男。その手に握られた刀と、焦点の合わない目が、その異常さを物語っている。
「さぁ、狩りを始めようか?」
最初のコメントを投稿しよう!