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優side
異常事態に気付いた俺は、琴葉の教室に急いでいた。まさかこういう展開は予想外だった。
魔術師にとって、魔術は秘匿にするもの。故に罠は放課後だと思っていたが、意外だった。
「ちっ、フツノっ!!」
カオスの紡いだ結界は強力だが、フツノを止めるには力不足だ。
あれを止めるには、神を抑えるレベル、この土地の封印並みの結界が必要だ。即興の結界にはそこまでの力はない。
やがて俺の手にフツノが現れる。
『どうやら仕掛けてきたようだな。』
「最低最悪のタイミングでな。まずは琴葉を助けて・・・」
言いかけて、止めた。
こっちにも客が来たようだ。それも、質の悪い最低な客だ。
『主っ!!』
「分かってる。どうやら琴葉救出は難しくなったようだな。」
そして、そいつは俺の前に立ちふさがる。おそらく、最低最悪のライバル。
「開幕直後に鮮血乱舞、有象無象の散りゆく様は、この世の何より儚くて、故に何より美しい。」
「・・・昔、そんな曲が流行っていたな。興味がないからタイトルは覚えてないけど・・・」
「それは残念だ。」
カオスの手には一本の剣。コイツの名にもある魔性の剣。
『フランベルジュ』
独特な刃の形をした剣だ。
俺もフツノを構える。おそらく本気で戦えば何とかなる。いや、何とかする。
「いくぞ、混沌の魔術師。」
「引導を渡そう、黒の魔術師。」
今、二つの刃がぶつかり合う。
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