第一幕 魔術師

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数ヶ月前の事だ。山奥にある倉庫で盗難事件が起きた。 この倉庫は、ある会社の名義になっているが、その会社がこの倉庫を利用した事はない。 盗まれたのは、四本の刀だった。ただの刀ではない。『妖刀』と呼ばれる、オカルトな品である。 どんなモノにも想いは宿る。良い意味で言うなら結婚指輪などが上げられる。他にも使い慣れた道具も同様だ。 逆に悪い意味のモノもある。例えるなら人の恨み、憎しみを強く受けた物だ。自殺に使った縄や刃物に多い。 『妖刀』は、悪い意味の想いが篭もった物だ。故に取り扱いには細心の注意が必要なのだ。 「それで、やっと一本取り返した、と。」 映画館から出た優とダリアは、近くの喫茶店に入っていた。ちなみに、二人ともパンフレットを買っていた。 「それで、手掛かりは?」 「それは当然、色々調べたよ~♪多分これは当たりだと思う。」 最近市内で多発している通り魔事件、それに『妖刀』が関わっている事を優は知っていた。 以前見つけた一本を取り返したが、それでも事件は終わらない。 優はこの通り魔事件には何か裏があると読んだ。
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