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スピアが投げた槍を、ダリアさんは弾丸で弾いていた。それを何度も繰り返して、スピアは溜め息をついていた。
「流石は音に聞こえた魔術師、強い、強いねぇ♪ここまで苦戦するとは思ってない、思ってなかったよ。」
「まぁね、私は基本的には諜報担当。だけどバカな錬金術師の相手くらいは出来るわよ🎶
それで、いつまで手の内を隠しているつもりなのかな?」
そんな何気ない一言が、その場の空気を一瞬で変えてしまった。
スピアにはいつもの軽い感じが消え、まるでその目は鬼のように殺意に歪んでいた。
「有名になるのも、考えものだね。」
「調べるのが私の仕事だからね。
秘密主義が常識のこの世界で、アナタは平気でブリューナクを多様した。
確かに神話に生きる強力な武装でも、手の内が分かれば誰でも対処出来るんだよ?
だけどアナタは気にしない。それはつまり、アナタの切り札は別に存在するって事を表しているのよ。」
「・・・・・・」
「ブリューナク。必中の槍はおそらく本当に目指した何かに至る途中に、偶然完成した武装。
ならばアナタの本当の槍は・・・」
「もういい。」
スピアの声は、今までとは違う。
大きく後ろに飛び、距離を取った。
私にも分かる。
これから来るのは、スピアにとっての最強の一撃だろう。
そんな中で、ダリアさんは悠然と、拳銃のマガジンを交換していた。
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