第十幕 砕けぬ槍

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「そこまで語るなら、この槍の真の力でお相手しよう。お相手してやろう。 そして後悔させてやる、お前が誰を相手にしているかを。 我が名は槍の錬金術師、神話に名を連ねる神秘を再現した最強の錬金術師っ!!」 空気が歪む。 空間が凍る。 神秘が再現される。 スピアは投擲の姿勢をとる。 ブリューナクと同じ構えだが、槍が違う。威圧感が違う。そして、殺意が違う。 ダリアさんはスピアに銃口を向けるが、それだけだ。まるで慌てていない。 殺意を受けながらも、彼女は冷静だ。 事態は理解しているはずだ。 これから放たれるのは今までとは違う、優くんが今まで砕いてきた槍とは違う、必殺の一撃のはずだ。 しかし、ダリアさんは落ち着いている。ただ静かに目の前に立つスピアを睨み付け、つまらなそうに言う。 「言いたい事は、それだけ?だったら早くしなさいな。 つまらない口上は飽きたのよ。」 それで、張り詰めていたものが弾けた。 スピアの手から、槍が放たれる。 その、あまりにも有名な名前と共に。 北欧の神が携えた、その槍の名は・・・ 「打ち砕け・・・ 『グングニル』っ!!」
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