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『グングニル』
北欧神話に登場する神、オーディンの携えた長槍。
決して外れず、
決して砕けず、
そして必ず主の手に戻る槍。
その威力は絶大で、同じく北欧神話に登場する竜殺しの剣、バルムンクすらも一撃で砕いてしまう。
・・・こら作者。勝手に語るな。
【・・・てへ。】
無表情で言うなっ!!
最強の槍が迫る。北欧神話の神秘を再現した槍ならば、普通の人間には防ぐ事もかわす事も不可能だ。
ダリアさんの拳銃から、弾丸が放たれる。
連続する銃声。
息もつかせぬ連射。
その甲斐があったのか、グングニルの穂先が僅かにズレた。距離があれば、僅かなズレも重要だ。
ダリアさんの拳銃が、グングニルの必中の法則を砕いたのだ。
その結果に、私は勝利を確信する。
しかし次の瞬間に、私は見てしまった。
スピアの口元が喜悦に歪み、
ダリアさんの口元が驚愕に歪んだ。
一瞬だった。
ダリアさんの胸がグングニルに貫かれ、そのまま吹き飛んでしまった。
確かに見た。
穂先のズレたグングニルが、軌道を修正しながら加速して、次の瞬間には既に貫いていた。
まるで、喜劇。
貫くという結果を追い求めるように、グングニルは空間を走ったのだ。
「僕の作り上げたグングニルの必中、覆せると思ったのかな?」
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