第十幕 砕けぬ槍

6/7
前へ
/108ページ
次へ
銃口が、スピアの頭に向けられる。確実にスピアを殺せる距離と位置で、しくじる事はないだろう。 「なっ・・・何故生きている。確かにお前の胸を貫いたはずたぞっ!!」 スピアの狼狽はもっともだ。確かに私も貫かれるダリアさんを見たのだ。 しかしダリアさんは・・・ 「・・・・・・変わり身の術♪」 絶対ウソだ。 「まぁ私が生き延びた理由なんて今は問題ないの。それより自分の心配したら?」 「お前はっ・・・いや、誰だ?お前は一体誰なんだっ!?」 何かに気付いたのか、スピアが狼狽えている。どうしたんだろう? 「私は私、単一ではないけれど、ここにいるのは間違いなく私、ダリアだよ。」 「単一・・・くっ、なるほど、納得した。納得出来たよ。くだらない、そんなくだらないタネがあったのか。」 「最後に、遺言とかはある?」 「・・・地獄に落ちろ、ホムンクルス。」 「その提案は・・・」 銃声が響く。 崩れ落ちるスピアの体を見下ろすダリアさんの目は、冷たかった。 「却下。」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加