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「おっ、あったあった♪折角なんだし、このグングニルは貰っていこう?」
ダリアさんは壁に突き刺さったグングニルを抜き、軽く振ってみる。その穂先は血に濡れていた。
やっぱり、さっきのは貫いていたんだ。
「ねぇ、結局どうやって助かったの?」
「えっ?だから変わり身の術だってば♪こう・・・シュシュッと。」
何故か手裏剣を投げるようなポーズ、忍者のつもりかな?
「でもこの血って・・・」
「リアリティ♪」
どうやら何がなんでも誤魔化すつもりのようだ。まぁタネを聞いても理解出来るかも分からないし、まぁいいか。
重要なのは、ダリアさんが生きてる事だ。
「さて、後はカオスを・・・」
「・・・ダリアさん?」
動きを止めたダリアさん。その理由は私にもすぐに分かった。
今までにない、圧倒的なまでの威圧感。まるで生きる全てに対する憎しみのようなそれに、思わず膝を折った。吐き気がする。
ダリアさんも感じているようで、表情は歪んでいる。
「マズい、かな?まさか楔は既に・・・」
よろけながらも、窓の外を見ていた。私も何とか立ち上がって、外を見る。
そこに、変なものが浮いていた。
例えるなら、不気味な月。
肉で出来た月だった。まるで鼓動のように蠢くそれは、見ているだけで不快だった。
「あれが・・・ヒルコ。」
呆然と、ダリアさんは呟いていた。
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