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その重圧は、突然だった。
全身を襲う悪寒、この感覚は記憶にある。これは、『神』に近い存在が発する鼓動だ。
『主、これは・・・』
「これは土地神ってレベルじゃないな。カオス、これは何だ?この圧力は神話に残る規模だ。」
力だけなら、フツノより大きい。しかしそんな存在がそう簡単に姿を現す事もない。
「あは、あはは・・・あはははははははははっ!!」
笑っている。この重圧の中で、混沌の魔術師は狂ったように笑っている。
あてられた・・・いや、違う。これこそが本質。俺は初めてこの男の本質に触れたのだ。
「ようやく起きた。ようやく目を覚ましたんだっ!!この島国に伝わる、最悪の神がっ!!ヒルコがっ!!」
「・・・ヒルコ?」
その名は知っている。
日本神話に伝わる二人の始まりの神、イザナギとイザナミの間に生まれた、最初の神だ。しかしヒルコには骨がなく、失敗作として捨てられる。
後にイザナギとイザナミは『天照大神』を始めとする神々を生み出した。
「正気の沙汰じゃないな。」
「お前が言うのか?俺をここまで追い詰めた、お前が言うのかっ!?」
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