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燃える草原。
燃える世界。
そんな中で、鯨を見た。
陸を歩く鯨。
悪魔のようだと思った。
それが、世界の終焉。
その少年に訪れた終焉。
後に黒を纏う魔術師の、或る一つの終焉があった。
これは、誰の過去なのか、私はすぐに分かってしまった。
「優くん・・・」
こんな、こんなとんでもない過去を、彼は背負っていたのか。
記憶を見た時、その時の感情が私の頭に流れ込んできた。
それは己の無力を呪う怒り。
それは大切な家族を失った悲しみ。
それは全ての原因の怪物への憎しみ。
「ほぅ、君はまだ生きていたのか?」
唐突に聞こえた、耳障りな声。
その声の主を、私は知っている。それは、この事件の首謀者の声だ。
「・・・カオス。」
「ふむ、ブラックが傍に置く程ならさぞかし大層な神秘を所持していると思っていたんだが・・・
どうした、敵を前に何も出来ないのか?」
悠然と両手を広げながら、混沌の魔術師は笑う。余裕に満ちたその顔は、不思議と人間とは思えなかった。
「混沌、まさかお前は・・・」
フツノさんが驚愕の声を挙げる。
「流石は神に名を連ねるだけの事はあるようだな。
その通りだ。俺は呑まれたのではない。このヒルコと、一つに溶け合ったのだっ!!」
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