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「魔術騎士団の中に、『フランベルジュ』の姓を持つ者が何人かいる。そのいずれもが、優れた騎士であった。生涯無敗を誇る家系、それがお前の誇り、か。」
突然のフツノさんの説明を、私は黙って聞いていた。
その中に、大切な答えがあった。
「生涯無敗を掲げる一族にとって、自分より優れた騎士は敵以外の何者でもなかろう。
それが主を狙う理由。
あぁ、琴葉の言う事は間違っていないな。そんな理由は、確かにくだらない。」
「黙れっ!!」
周囲の空間が歪み、私とフツノさんは突然現れた肉の塊に呑まれていく。
頭に流れ込んでくる狂気。次第に北川琴葉という人間が潰されていく。
「黙れ、黙れよ・・・俺は証明するんだ。黒の魔術師を殺して、この俺が最強の魔術騎士だと、証明するんだっ!!
もう、誰にも一族の恥なんて呼ばせない、呼ばせないんだっ!!
アイツと同じ、神の力も手に入れた。もう負けない、負けるはずがない、俺は、最強の魔術騎士だっ!!
さぁ、ここまで来い、黒の魔術師。最強の魔術師が、お前を殺してやるっ!!」
狂ったように笑うカオスを、私は何処か冷めた目で見ていた。
苦しいのに、それでも命乞いなんて考えなかった。それよりも・・・
(優くん・・・どうか・・・・・・)
どうかこの馬鹿に、ゲンコツの一つでも喰らわせてあげて。
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