第十三幕 黒の魔術師

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それは雷の如く、真っ直ぐにヒルコに向かって疾走する。如何なる肉の槍が阻もうとも、障害には成り得ない。 『主よ、琴葉は今呑まれかけている。助け出すには先に混沌の魔術師を始末するべきであろう。』 意識を集中して、魔力の流れを感じる。 確かに、中にはカオスがいるようだ。どうやら生きているようだが、魔力の規模を考えれば、もはや人間ではない。 (ヒルベルト、これがお前の望みか? これが、お前が夢に描いた最強の魔術師だと言うのか?人をやめてまで、望んだ事なのか?) 肉を切り裂き、その体内に侵入・・・ 『・・・主っ!!』 フツノが警告の声を上げる。それと同時に無数の剣が飛んできた。 「・・・ちっ。」 向かってくる刃を全て薙払い、なおも走り続ける。おそらくこの先に、奴はいる。 「ようやく、来たか。黒の魔術師。」 「お前の都合なんて知らない。俺は琴葉を守るって約束を守るだけだ。」 そして、二人の魔術師は相対する。
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