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「今日からこのクラスの仲間になる、藤原優くんだ。」
教壇から、教師の説明が入る。それを優はぼんやりと聞いていた。
頭にあるのは、何故自分がここにいるのか、それだけだった。
「藤原くんは無口無愛想無感情と、うちのクラスの寺島日陰とキャラが被っているが・・・」
「中性的な顔立ちだからますますキャラ被ってまーす。」
生徒のからかう声に、教室が笑いに包まれる。
優には何が面白いのか分からなかった。
幼い頃から魔術を習い、学校とは無縁な優だった。
「とりあえず仲良く・・・はするだろうな、お前達の性格考えたら。まぁ後は適当にやれ。最後に藤原くんから、何かある?」
「・・・よろしく。」
無難な挨拶をしておく。優はそんなに話す性格ではない。
一時間目の授業は、そのまま優に対する質問タイムになってしまった。
「藤原くんの誕生日っていつ?」
「5月24日。」
「藤原くんの趣味は~?」
「読書。」
「入りたい部活とかある?」
「興味なし。」
「ユーユーとか呼んでいい?」
「やめてくれ。」
「好きなタイプは?」
「ない。」
「罵ってくださいっ!!」
「失せろメス豚っ!!」
最後(言ったのは女子)のは質問ですらなかった。
ちなみに言われた女子は僅かに痙攣して、そのまま倒れた。何故か恍惚の表情を浮かべている。
転入初日、まだ昼前に、優は既に疲れていた。
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