第二幕 転校生

2/6

903人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「今日からこのクラスの仲間になる、藤原優くんだ。」 教壇から、教師の説明が入る。それを優はぼんやりと聞いていた。 頭にあるのは、何故自分がここにいるのか、それだけだった。 「藤原くんは無口無愛想無感情と、うちのクラスの寺島日陰とキャラが被っているが・・・」 「中性的な顔立ちだからますますキャラ被ってまーす。」 生徒のからかう声に、教室が笑いに包まれる。 優には何が面白いのか分からなかった。 幼い頃から魔術を習い、学校とは無縁な優だった。 「とりあえず仲良く・・・はするだろうな、お前達の性格考えたら。まぁ後は適当にやれ。最後に藤原くんから、何かある?」 「・・・よろしく。」 無難な挨拶をしておく。優はそんなに話す性格ではない。 一時間目の授業は、そのまま優に対する質問タイムになってしまった。 「藤原くんの誕生日っていつ?」 「5月24日。」 「藤原くんの趣味は~?」 「読書。」 「入りたい部活とかある?」 「興味なし。」 「ユーユーとか呼んでいい?」 「やめてくれ。」 「好きなタイプは?」 「ない。」 「罵ってくださいっ!!」 「失せろメス豚っ!!」 最後(言ったのは女子)のは質問ですらなかった。 ちなみに言われた女子は僅かに痙攣して、そのまま倒れた。何故か恍惚の表情を浮かべている。 転入初日、まだ昼前に、優は既に疲れていた。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加