第十四幕 ここから

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「さて、いよいよお待ちかねの優の事なんだけど・・・」 その言葉に、琴葉は身構えた。今の琴葉にとって、その話題は重要だった。 「優は元々、今回の事件が理由でこの街に来たからね。理由がない限りは次の任務に赴くわね。 今は療養中だし、しばらくは大人しいと思うけど、何しろ仕事熱心だから。出歩けるようになったらすぐに任務に入るわね。何より、もう次の任務は決まっているしね。」 「次の、任務?」 「うん、ちょっとした護衛の仕事なんだけど、先の展望は全く見えてないの。 多分、かなり長い任務になるわね。」 「・・・そうですか。」 元々、優はここの人間ではない。仕事があれば現れて、仕事が終われば去るだけだった。 しかし、それでも琴葉は寂しいと感じた。お別れも言えずにさよならは、悲しいと思った。 「・・・あの、」 「琴葉ちゃん。」 その時のダリアは、いつもと違う真剣な眼差しだった。 学校で見せた、魔術師としてのダリアが、そこに座っていた。 「私達は魔術師。目的の為だけに生きるつまらない存在なのよ。だから、後で問題になる事は、出来るだけ防ぐの。」 ダリアの手が、琴葉の頭に当てられる。それが琴葉には、優と初めて出会った夜の事を、思い出させた。 「だから、ね。琴葉ちゃん・・・ これからもよろしくね♪」 いきなり、雰囲気が砕けた。
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