216人が本棚に入れています
本棚に追加
ランスロットの形が崩れはじめる。
クルーメンスの魔法に限界がきたようだ。
「……まあ、俺はこいつに憑いちまった。だから運命を共にする覚悟だぜ。」
解けるようにランスロットは光の束に戻り、アレンの体に吸い込まれた。
「……何もわからず、ですね………」
エルティズが呟く。
クルーメンスは再び考え始め、エリアはアレンの頬を叩いた。
「アレン、アレン!」
「ん、な、なんだ……?」
目を覚ましたアレンは混乱している様子。
『そこのじいさんが俺を引っ張り出したんだ。大丈夫かい、相棒?』
「……大丈夫?」
「あ、ああ………」
霞む目をこすり、アレンはぼーっとした頭を振った。
「……伝説の騎士、か………」
エルティズが立ち上がる。
「正直、負けたことに納得はいかなかったが………そういうことだったんだな。じゃ、そろそろ用事があるんで失礼します。」
「うむ、今日は呼び出してすまなかった。」
「いえいえ、面白いものが見れてよかったです。」
エルティズが爽やかに笑う。
「じゃ、2人とも、またな。明日までホテルにいるから遊びに来てくれよ。」
「暇があったら行くわ。ジュリアによろしく。」
「ああ。それじゃ、失礼します。」
エルティズが扉を開けて退出した。
「………いろいろと謎の多い生徒だね、君は。」
クルーメンスが苦笑しながら呟く。
アレンは思わず頭を下げた。
「す、すいません……」
「いや、責めてるわけじゃないよ。そうそう、謎と言えば………」
クルーメンスが口笛を鳴らす。
すると、窓の外から小さなドラゴンが入ってきた。
その背にはエリアそっくりの錬金製人工知性体、通称ホムンクルスのウィンが乗っていた。
「ああ!ウィン!すっかり忘れてた!」
ドラゴンが床に下りると、急いでアレンの足に飛びつくウィン。
手の平サイズのそれを広い上げ、文字通り手の平に乗せる。
「ごめんなぁ……寂しかったか?」
涙を大きな瞳いっぱいに溜め、アレンをキッと睨んだ。
「悪かった悪かった。今晩はお前の好きなチーズ買ってやるからな。」
「……この間いろいろ調べてはみたんだが、やっぱり謎のままだった。」
「そうですか………」
ポケットにウィンをしまう。
通常のホムンクルスとウィンは明らかに外見が違う。
作ったアレンでさえ、その理由はわからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!