序章

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ランスロットの形が崩れはじめる。 クルーメンスの魔法に限界がきたようだ。 「……まあ、俺はこいつに憑いちまった。だから運命を共にする覚悟だぜ。」 解けるようにランスロットは光の束に戻り、アレンの体に吸い込まれた。 「……何もわからず、ですね………」 エルティズが呟く。 クルーメンスは再び考え始め、エリアはアレンの頬を叩いた。 「アレン、アレン!」 「ん、な、なんだ……?」 目を覚ましたアレンは混乱している様子。 『そこのじいさんが俺を引っ張り出したんだ。大丈夫かい、相棒?』 「……大丈夫?」 「あ、ああ………」 霞む目をこすり、アレンはぼーっとした頭を振った。 「……伝説の騎士、か………」 エルティズが立ち上がる。 「正直、負けたことに納得はいかなかったが………そういうことだったんだな。じゃ、そろそろ用事があるんで失礼します。」 「うむ、今日は呼び出してすまなかった。」 「いえいえ、面白いものが見れてよかったです。」 エルティズが爽やかに笑う。 「じゃ、2人とも、またな。明日までホテルにいるから遊びに来てくれよ。」 「暇があったら行くわ。ジュリアによろしく。」 「ああ。それじゃ、失礼します。」 エルティズが扉を開けて退出した。 「………いろいろと謎の多い生徒だね、君は。」 クルーメンスが苦笑しながら呟く。 アレンは思わず頭を下げた。 「す、すいません……」 「いや、責めてるわけじゃないよ。そうそう、謎と言えば………」 クルーメンスが口笛を鳴らす。 すると、窓の外から小さなドラゴンが入ってきた。 その背にはエリアそっくりの錬金製人工知性体、通称ホムンクルスのウィンが乗っていた。 「ああ!ウィン!すっかり忘れてた!」 ドラゴンが床に下りると、急いでアレンの足に飛びつくウィン。 手の平サイズのそれを広い上げ、文字通り手の平に乗せる。 「ごめんなぁ……寂しかったか?」 涙を大きな瞳いっぱいに溜め、アレンをキッと睨んだ。 「悪かった悪かった。今晩はお前の好きなチーズ買ってやるからな。」 「……この間いろいろ調べてはみたんだが、やっぱり謎のままだった。」 「そうですか………」 ポケットにウィンをしまう。 通常のホムンクルスとウィンは明らかに外見が違う。 作ったアレンでさえ、その理由はわからなかった。
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