序章

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かつて、ランスロットという若者がいた。 一国の王子として生まれたが、他国との戦乱によって故郷を失い、湖の妖精に育てられた若き剣士、ランスロット。 故郷復活を目指し、各地で剣の腕を磨いていた彼は、小国の王、アーサーに出会う。 その野望、その人柄に惚れ、ランスロットはアーサーの直属の騎士となった。 どんな名剣をも両断し、どんな上級魔法をも弾き返し、どんな堅固な鎧をも切り裂くと言われた大剣、アロンダイトを繰り、馬術、剣術、作戦指揮、人望、騎士としての誇り………その全てが世界一と謳われ、王の右腕としてその力を発揮する。 アーサーはやがて大国の王となる。 その影には常にランスロットや他の騎士達の働きがあった。 しかし、アーサーの妃、ギネヴィアと恋に落ちてしまったランスロット。 その罪深き愛情が明るみに出た時、激怒したアーサーはランスロットとギネヴィアを牢へ投獄する。 彼を慕う他の騎士達によって何とか脱出に成功するランスロットだったが、しばらくして、ギネヴィアが処刑されるという触れを聞き、それを阻止せんと城へ単騎で奇襲を仕掛ける。 警備にあたった騎士の中にはランスロットを支持する者もあり、ギネヴィアを救出することに成功する。 しかし、その奇襲で無二の親友、ガウェインの弟を殺してしまったランスロット。 ギネヴィアと自分に従う騎士とともに、ランスロットは自分の城に立て篭もる。 愛する国を乱したことを悔やみ、和平を望んだランスロットだったが、アーサーはそれを断固として認めず、ランスロットは追われる身となった。 数度の戦でアーサーを打ち破るが、止めを刺さず、ランスロットは何度も何度も和平を申し入れた。 しかし、相変わらず拒否を続けるアーサーはついにガウェインをランスロットの城へ送る。 アーサーの命を受け、弟の敵を討つため、ガウェインはランスロットに一騎打ちを申し込む。 激しくぶつかり合った結果、ランスロットはガウェインを打ち破り、その命を断ってしまう。 さらに、アーサーの治める国で内乱が起き、アーサーはその息子モードレッドに殺されてしまう。 最大の親友と忠誠を誓った主君を失ったランスロットは、愛するギネヴィアや自分を慕う騎士達には知らせず、1人で当てのない旅に出た。
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