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外交案について上官の大臣と揉め、刺客を差し向けられたらしい。
とても不安だし、死ぬほど心配だけど、あのお父様がそうそう簡単に討ち取られるはずもない。
私はいつか無事にご帰還なさることを待つことにした。
それで、ついこの前催された、交流試合。
ゼリアル校舎とは別に、王都近くの都市、ミセアにも学園の校舎があるんだけど、毎年、両校のルーキーランクの生徒が擬似戦場で戦闘訓練をするの。
劣勢だったんだけど、負けそうになった時、アレンが何だかわけのわからない力に目覚めちゃって、戦況は一変、ゼリアルが勝っちゃった。
どうやら、アレンには伝説の騎士、ランスロットが宿ってるみたい。
そのランスロットと少し話したけど、本物かどうかも疑わしい。
でも、明らかに態度や口調が変わったし、あの黒い髪と瞳が藍色に染まっていた。
魔法で不可能なことじゃないけど、あいつ魔法はあまりできなかったはずだし……
まあ、試合は私たちが勝ったから問題ないんだけど。
試合が終わって、しばらく学校はお休み。
生徒はもちろん、擬似戦場を作り出した先生たちも疲れていたから。
そういうわけで、私、エリアはベッドの上で大の字になって天井を見上げながらぼーっとしていた。
「エリア!起きてる?」
ドアが叩かれ、外から聞き覚えのある声が呼んだ。
怠いけど、無視するわけにはいかない。
ゆっくり起き上がり、ドアを開ける。
待っていたのは先ほど話した私の親友。
「………アメリア。」
「何よ、嫌そうね?」
赤い短髪、少し背の高いアメリアは活発で、男女問わず慕われる存在。
親友同士、私達はほぼ毎日を共に過ごしていた。
「……私だってたまにはゆっくり寝たいのよ。」
「毎日寝坊してるくせに何言ってるの!ほら、ご飯でも行こうよ!」
「え~……?」
「ほらほら、パジャマなんて脱いで!」
「ちょ、ちょっと!自分で脱ぐってば!!」
上着を脱がされかけ、なんとかアメリアの腕からすり抜けた。
「全く……疲れてないの?」
「ん?一晩寝たら疲れなんて吹っ飛んだよ!」
親指を立てるアメリア。
この元気の塊はどんだけスタミナがあるのだろう。
「じゃ、早く来てね!2人も待ってるから。」
「……2人?」
「アレンとミーアに決まってるじゃん!」
予想通りだった。
別に待たせることに罪悪感はない。
クローゼットから服を引っ張り出し、大きな姿見で確認する。
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