序章

4/18
前へ
/331ページ
次へ
外交案について上官の大臣と揉め、刺客を差し向けられたらしい。 とても不安だし、死ぬほど心配だけど、あのお父様がそうそう簡単に討ち取られるはずもない。 私はいつか無事にご帰還なさることを待つことにした。 それで、ついこの前催された、交流試合。 ゼリアル校舎とは別に、王都近くの都市、ミセアにも学園の校舎があるんだけど、毎年、両校のルーキーランクの生徒が擬似戦場で戦闘訓練をするの。 劣勢だったんだけど、負けそうになった時、アレンが何だかわけのわからない力に目覚めちゃって、戦況は一変、ゼリアルが勝っちゃった。 どうやら、アレンには伝説の騎士、ランスロットが宿ってるみたい。 そのランスロットと少し話したけど、本物かどうかも疑わしい。 でも、明らかに態度や口調が変わったし、あの黒い髪と瞳が藍色に染まっていた。 魔法で不可能なことじゃないけど、あいつ魔法はあまりできなかったはずだし…… まあ、試合は私たちが勝ったから問題ないんだけど。 試合が終わって、しばらく学校はお休み。 生徒はもちろん、擬似戦場を作り出した先生たちも疲れていたから。 そういうわけで、私、エリアはベッドの上で大の字になって天井を見上げながらぼーっとしていた。 「エリア!起きてる?」 ドアが叩かれ、外から聞き覚えのある声が呼んだ。 怠いけど、無視するわけにはいかない。 ゆっくり起き上がり、ドアを開ける。 待っていたのは先ほど話した私の親友。 「………アメリア。」 「何よ、嫌そうね?」 赤い短髪、少し背の高いアメリアは活発で、男女問わず慕われる存在。 親友同士、私達はほぼ毎日を共に過ごしていた。 「……私だってたまにはゆっくり寝たいのよ。」 「毎日寝坊してるくせに何言ってるの!ほら、ご飯でも行こうよ!」 「え~……?」 「ほらほら、パジャマなんて脱いで!」 「ちょ、ちょっと!自分で脱ぐってば!!」 上着を脱がされかけ、なんとかアメリアの腕からすり抜けた。 「全く……疲れてないの?」 「ん?一晩寝たら疲れなんて吹っ飛んだよ!」 親指を立てるアメリア。 この元気の塊はどんだけスタミナがあるのだろう。 「じゃ、早く来てね!2人も待ってるから。」 「……2人?」 「アレンとミーアに決まってるじゃん!」 予想通りだった。 別に待たせることに罪悪感はない。 クローゼットから服を引っ張り出し、大きな姿見で確認する。
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加