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「はぁ……はぁ……」
屋敷を走り回り、疲れた肩を上下に揺らし、オリジンは庭園の花畑の前に腰を降ろしていた。
この広い庭には、季節に合わせ、色とりどりの花が咲いている。
ツバキが花を植えた花壇も、目の前にある。
「勉強なんて無理だぜー」
そんな独白は透き通る空に吸い込まれ、風の音にかきけされる。
使用人たちは皆屋敷の中にいるのか、人の姿は見えない。
オリジンは勉強がからっきしだった。しかも大嫌いなのである。
なんで勉強しなければいいのか、わからなかった。
なんで立派にならなければいけないのか、わからなかった。
ツバキが一生懸命言っている事を、理解しようとしなかった。
「だぁー」
芝生に寝転がり、どこまでも深い青を見る。
視界をゆっくり通りすぎる雲を見る。
「あ、あの雲、父さんにそっくりだぜ」
ぼんやりと浮かぶ雲が、何となく父親に見えた。
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