1章~貴族の子~

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  オリジンの父親。 最も尊敬する人物であり、最も畏れている人物。 子供の頃から優しく、そして厳格な父親だった。 貴族としての誇りを重んじ、正義の下に進む。 そんな立派な父は、オリジンの憧れだった。 だが父は、息子の学力が芳(かんば)しくない事に悩んでいた。 そしてあきらめにも近い感情を抱いていた事も、オリジンは何となく気付いていた。 気付かない振りをして、自分に嘘をついていた。 本当は、それがすごく悔しかったのに。 しかもオリジンの姉は、天才だった。 おかげでいつも姉と比較され、そのデキの違いに落胆している親の心を感じていた。 「お姉ちゃんは、こんな事簡単にできたんだよ?」 そんな母の台詞に何度傷つけられたか、わからない。 何度悔しい思いをしたか、わからない。 父親に認めてもらいたい。 オリジンはただ、そう願っていた。 .
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