1章~貴族の子~

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  「……どうやって、か。それは門番をどうしたのか聞いているのか? それならば、殺してきた」 あっさりと、そんな簡単に、男は口にする。 人の命を奪ったというのに、それを当たり前とでも言うように――。 よく見れば、彼の手に握られたナイフには血液が付着している。 そして服にも返り血が、大量に付いているのだ。 オリジンは背筋が凍るのを感じていた。 心臓が破裂しそうな程鼓動を強め、呼吸が早くなる。  目の前にいる男は、人を簡単に殺す事ができる人間だ。  逃げなきゃ。  ここにいてはだめだ。  殺される。 混乱しつつある頭でも、それくらいは理解できた。 「次はこちらからの質問だ」 男は一歩足を進め、花壇の花を踏み付けた。 「……お前はロンベルト家の血筋の人間か?」 .
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