1章~貴族の子~

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  そしてこの場所に、第三者が現れる。 「――炎の衝撃<Fire Blast>」 声がしたかと思うと、炎の魔法が発動し、男に襲い掛かった。 男は後退してそれをかわし、そして距離を取る。 間一髪、オリジンは助かった。 そして男とオリジンの間に、壁になるような形でツバキが割って入った。 「ぼっちゃん、何故逃げないのです!」 背中を向け、怒鳴り声に近い言葉を発する。 後少し遅ければ、危なかった。 オリジンの命が無くなっていたらと思うと、焦りが胸にわいてくる。 「だって、許せなかったんだぜ。ツバキ先生の花が……」 安堵の表情を浮かべたオリジンは、男の足元を見て言う。 そんな台詞にツバキは驚き、そして呆れる。 「……そんなのどうだっていいんですよ。あなたの身体の方が、ずっと大事なのですから」 ツバキは一瞬だけオリジンを見る。 その表情は、とても優しげなものだった。 .
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