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「わーかーらーなーいーだぜー」
相変わらずその部屋では、そんな声が漏れるのだった。
しかしツバキの厳しい視線が飛び、嫌々にでも勉強をするしかない。
「いいですか、ぼっちゃん。あなたは貴族の一員なのです。全ての民の見本になり、家を支えなければなりません」
そんな説教も、相変わらず続く。
繰り返し、移り変わりもせずに。
しかしオリジンは彼女の隙を見て、部屋を抜け出してしまった。
「あ、ぼっちゃん、待って下さい!」
しかしその声は虚しく響くだけで、彼は走ってどこかに行ってしまった。
はぁ、一体どうしたら分かってくれるのでしょう?
いつになったら、ご主人や私の期待に応えてくれるのでしょう?
そんな思いを心に浮かべると、ただただため息がこぼれるばかりだった。
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