1. 物語ハ再ビ

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  (……ど、こ?) 攻撃してくると構えていた和葉は沖田を見失う。 その僅かな時間で沖田は和葉の前を横切ると背後に回った。 トン――、 気付けば、乾いた音が無防備な和葉の左腹を突いていた。 「あ……」 「私の勝ちですね」 もし真剣なら命は無かった。 こんなにも簡単に、汗一つ滲ませず勝負を決めてしまう、 和葉は言いようのない敗北感にガクリと膝から崩れる。 「天然理心流、燕斜剣。免許皆伝の攻撃技です」 「やっぱり……沖田さん……女々しいっての撤回します」 出来る限りの笑顔で、和葉は見上げた先に居る沖田に言った。 「有り難うございます」 流れるような動き、しなやかな剣捌き、やはり沖田はただ者ではない。 (自分も早くこんな風に――) プチン、 立ち上がろうとした所で、奇妙な音がした。見れば和葉の持つ竹刀の弦が弾けている。 「ご……御免。壊すつもりは無かった」 「大丈夫ですよ。少し古くなっていたのでしょう。和葉さん、激しく動いてらしたから」 沖田は和葉から竹刀を預かると、全ての竹刀の弦を外した。そして四本の竹へと分解させている。 「何で、ばらばらに?」 初めて見る事に、和葉の目が輝いた。 「これは、ただ単に竹刀の修繕ですよ。古くなった竹を入れ換えて、弦を新しくする、特に凄い事ではありません」 話しながらも沖田は器用に古い竹を抜いてゆく。他の竹刀と竹を交換すると、慣れた手つきで弦を巻いた。 何年も剣術をやって来た沖田には当たり前の作業。 「じ、自分もそれやりた――」 ――バタン! 和葉が口を開くと同時に、道場の扉が開いた。  
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