1. 物語ハ再ビ

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  「つまりさぁ、戦って事だよなぁ!! 楽しみだぜぇ、やったなぁ」 最後の土方の声だけを耳にしかと入れた原田が、楽しげな声を上げた。 原田にとって“祭”も“戦”も変わらないのだ。 「てめぇの頭ん中は女と戦だけか、馬鹿助」 呆れたように言う永倉。 「いや、飯もだ新八ぃ」 「っるせぇよ!」 お決まりの漫才じみた二人の会話が会議に程よい緩みを与えた。 「だははっ、とにかくだ。会津様より命が下っている。布陣の用意をせねばならん、と今日は伝えたくてな」 笑いを抑えた所で近藤は漸く本題を提示した。 「ちょっと待て、近藤さん。先に鼠を駆除しねぇと」 「「?」」 突然立ち上がった土方に、周りはキョトンとする。 だが構わず土方は目の前の襖まで突き進むと、破壊する勢いで襖を開けた。 スパンッ! 「うぎゃ」 短い奇声。 支えの襖が取り去らわれた身体は、ごろりと部屋に人が転がり込んだ。 「和葉、久しぶりだね」 「いってぇー……平助、久しぶり。元気そうだな」 乱入したのは和葉だった。 無防備な状態で畳に打ち付けたのか、頭を摩りながら和葉は答える。 嬉しそうな藤堂はさておき、一同は大胆な登場にしばし呆然としていた。 「あ、会議続けて下さい。自分は帰ります……」 何食わぬ顔で立ち上がった和葉は、一同に背を向け帰ろうとした。だが、一人の鬼は許さない。 「おい待て、馬鹿野郎」 「痛っ! 髪引っ張らないで下さい、土方さん」 手加減なしの痛みに振り向けば、土方が殺気を醸し出していた。 「死にてぇのか?」  
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