1. 物語ハ再ビ

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  「ど、どうしたんですか!! まさか傷口が開いたのでは……」 沖田があわてふためくのも無理はない。 今にも潰れてしまいそうな小さな身体には、数え切れない程の傷痕がある。 一番最近では右肩に、ざっくりと斬り傷。 そんな心配を余所に平然と立ち上がると、地面に落ちていた眼鏡を掛けた。 「いや、眼鏡を忘れてたんだ」 「…………」 「ほらっ、邪魔だから外してたんだよ」 「…………ぷっ」 沖田は長い沈黙の後、吹き出した。 自慢げに掛ける眼鏡は大きすぎ、顔の半分の面積を覆っている。ずり落ちるのを手で押さえているが、もはや“眼鏡”の意味はなかった。 何より――、 (似合わなさすぎる!!) 「何だよ、沖田さん」 「ぷぷっ……あはは――っ! 和葉さん、変ですよ。くくっ、それじゃあ、眼鏡という名の仮面ですね。あははっ」 どうやらツボに入った沖田は、腹を抱えるとケラケラと笑い出した。 その様子に暫く耐えていたが、プチンと青筋が立つ。 「沖田さん、悪かったですね。いっそ、手持ちの苦無を目に刺してあげましょうか? そうすれば、この不細工な面も見えないぞ」 そう言い殺気立つが、沖田は顔色一つ変えない。 笑いすぎて出た涙を指で拭うと、その手を伸ばし眼鏡を取り上げた。 「……ぇ……あっ、やめろよ!」 沖田の素早い動きに反応すら出来なかった。 慌てて取り返そうとぴょんぴょんと跳ねるが、頭一つ分高い沖田が目一杯伸ばした手に届くはずもない。 「どうして眼鏡を?」 代わりに返って来たのは、当然の疑問だった。  
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