真樹

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―真樹、元気にしちょると?ちゃんとご飯はたべよるね?たまにはこっちにも帰ってこんね。 ―大丈夫よ、元気にしちょる。もう子供じゃないけん、ご飯も作って食べよるさ。この間は煮物作ったとよ。 ―はー。あんたが煮物ばね?なんも料理なんてできんかった子が。彼氏でも出来たとじゃなかろうね? ―なんば言いよると、そんなんじゃなか。 ―ま、あんたには男はまだ早かたい。花嫁修行ができとらんけん。 ―大丈夫、そのうち玉の輿にのっちゃるけんね。 ―あーら、そんなら楽しみにしとこ。 ―それじゃ、もう切るね。 先日、母親から電話があった。いつも強がっているが、自分を心配しているのが良く分かる。慣れない東京で聞く母の声は、より懐かしく聞こえた。 18時を過ぎ、開発部との会議が終わった。今日もまた残業だ。仕事が終わったのは19時を過ぎた頃だった。 「はぁ、やっと終わったわね。今日これから呑みにいくんだけど、付き合わない?」 真樹を誘うのは、開発部に所属する2年先輩の美里だ。彼女は若手ながらもその実力を買われ、チームリーダーを努めている。 「いいですよ、行きましょ。今日は私も呑みたい気分。」 「よし、決定!」 二人で会社を出ると外は雨のせいか薄暗く、午後からの雨は夜になってもまだ降り続いていた。
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