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「じゃあ、紹介するわ。彼女は私の後輩。真樹ちゃんよ。」
「真樹様、ようこそ"ef"へ。」
「あ、えっと…。よろしく。」
「真樹、カクテル何にする?」
「私は…ラムコリンズを。」
「じゃあ、私はモスコミュールでお願いね。」
「かしこまりました。」
と言うと、聖二は軽やかな手さばきで二つのカクテルを作り始めた。
―きれいな指…。
その仕草につい見とれながら、真樹は心の中で呟いた。そして、大きな手には不似合いなほど繊細でしなやかに動く指先を目で追った。
その日何杯か呑んだが、疲れていたのか美里はやはり酔いつぶれ真樹が連れて帰ることになった。
「先輩、しっかりしてくださいよ。」
美里を部屋まで無事に送り届けた真樹は、
―疲れたぁ…。
とため息をつき、疲労感と共に一日を終えた。
その帰り道、"ef"のことを考えながら歩いたが、必然的に聖二の姿が蘇る。自分は絶対に惹かれまいと思っていたはずが、その仕草や話に自然と引き込まれてしまったことに気付いた彼女は、一人頬を赤らめた。
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