~それから~

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~それから~

{1} さて。 それから… どうなったかって? 俺は… それから数週間、定期的に『小竹心理クリニック』に通った。 (二回目以降は、一人で行ったよ) そして… クリニックに通い始めて数週間めの事…。 「タクミ君。 もう、大丈夫だ。君の『病気』は、ほとんど治ったと言って良いよ。もしも、また君が知らないうちに誰かの持ち物をスッてしまうような事が有ったら、その時は、また私の所に来なさい」 と、小竹先生が俺に言ったんだ。 驚いた事に! それから俺のポケットの中に俺の身に覚えの無い物(誰かのハンカチとか小銭入れとか)が入っている…なんて事は、ぴったりと無くなっていたんだ! 知らないうちに周りの人間の持ち物をスッてしまう『病気』… ついに俺は、その『病気』とオサラバできたんだよ! 小竹先生の話だと、 「この病気の治療法で非常に効果的なのは、ストレスの原因…過去の失敗に対する『悩み』や『悔やみ』なんかを解決する事」 なんだそうだ。 その『過去の失敗に対する悩みや悔やみの解決方法』というのが、 俺の場合、フミに正直に全てを打ち明けて謝る事だったんだろうな…。 確かに… 俺は、あの火曜日(クリニックに来た初日)に、フミに『全て』を打ち明けてから、 自分の胸の中にくすぶっていた『何か』が… すうーっと、消えて無くなったような気がした。 こうして… 俺は改めて、人生の『再出発』をするべく、 再び、就職活動を始めたという訳だ。 そして… 俺は… 今度こそ、 本当に、フミと付き合い始めた… という訳だ。
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