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「もう体調は大丈夫そうですね」
沖田は悠奈の顔色をじっと眺めながら言った。
確かに水を飲んでいろいろ話をしていたら、気分の悪さはすっかり治ったので、悠奈はこくん、と無言で頷いた。
「では、私と一緒に剣術の稽古をしましょうか」
沖田はまるで“今日は晴れですねぇ”と言うような感じで、ごく普通にとんでもないことを言った。
「へ!?」
悠奈は思わず聞き返してしまう。
(えっ!
さっき剣術の稽古がどうのこうと沖田さんが言ったけど、聞き違いだよね……。
ていうか、聞き違いであって欲しい……)
悠奈は心の中で聞き間違いであることを願っていたが、
「私と一緒に剣術の稽古をしましょうね」
と、嬉しそうに思わず見とれてしまうような綺麗な笑顔で言い切った。
それに反して悠奈の表情は強ばる。
誰から見ても明らかに悠奈は嫌がっているとわかった。
(どうしょう……。
また、あんな所に行かなきゃ駄目なのかなぁ…。
嫌だよ……。今度は耐えれる自信ないなぁ……。
それに痛いのも嫌だよ……)
悠奈の頭の中ではそんな思いが渦巻いていた。
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