稽古

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(女っぽいの一言で片付けられないって……どういう意味だろう……) 悠奈は訳がわからずに訝しげに首を傾げる。 (そういえば昔の人から見たら僕はどう見えるんだろう……) 沖田に言われてふと思った疑問。 未来では、綺麗な顔立ちだったので男女問わずモテまくった。 しかし、悠奈は鈍感だったので全く気づいていなかったが……。 ただ小学生の頃、女っぽいと馬鹿にされた記憶しかないのでそれが現在でもトラウマになっている。 今、悠奈の脳裏に浮かぶのは、歴史の教科書や古典の教科書に載っていた絵の数々。 あの絵に描いてある人物の絵は描いた人には悪いが、あまり美人には見えなかった。 だが、昔の人にとってはそれが美人の基準だったと思う。 だから自然と悠奈の頭の中では昔の人と今の人は可愛いとか美人の基準は違っていると普通に思った。 それと同時に悠奈ははっと思いつく。 (もしかして、僕……ここじゃあものすごく不細工なんかなぁ……。 それだったら最初にあの部屋に入った時や、さっき二人の様子がおかしかったことに説明がつくよね……。 綺麗って言われたのもたぶん、僕があまりに不細工だからお世辞みたいなことを言ったんだ。 みんななんかぎこちなかったし……) などとまるで見当違いなことを考えて納得する悠奈。 悠奈にとってこの顔立ちはコンプレックスでしかないので綺麗なんて言われても全然嬉しくない。 本音をいえば、むしろ男前、カッコいいと言われたいが、綺麗や女っぽいと言われるくらいなら不細工と言われたいほうがまだましだと思っている悠奈だった。 ,
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