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「あの…沖田さん……」
悠奈は恐る恐る沖田に話かける。
「なんですか?」
「あの……稽古……教えて……」
悠奈は勇気を振り絞ってこれだけを言った。
断片の言葉で悠奈が何を言いたいのか理解した沖田はパァっと表情を明るくする。
・・
「悠奈君は稽古を私につけて欲しいんですね!」
予想以上に話に食いつく沖田。
“私に”という部分を強調して沖田は言ったが悠奈は気づかなかった。
なので、沖田の反応に驚き呆然とした状態で反射的にこくん、と頷く。
その様子を見ていた永倉は、
「神谷崎は剣術はやったことあるんか?」
と、ふと疑問に思ったことを聞いた。
悠奈の細い手足はどう見ても剣術をやっているように見えないと永倉は判断したからだ。
悠奈が“やったことない”と伝えようとした時、
「悠奈君はほとんど剣術をやったことないらしいですよ」
永倉の質問に悠奈より先に沖田が答える。
その答えに永倉は顔色を曇らせて、
「ほとんどやったことないってことは、基礎くらいしかできてないってことなんか?」
と、真面目な様子で再び尋ねた。
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