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「ということで悠奈君、さっそく稽古をしましょうか♪」
沖田は悠奈の腕を掴んでぐいっと立たせた。
悠奈はいきなり沖田がそんなこと言ったので驚いていた。
まさか、すぐにやるとは思わなかったからだ。
に沖田に道場の方向へ連行されかけた時、
グギュルルル……
大きな音が三人の耳に届いた。
沖田は引っ張るのをやめて、二人に着いて行こうとした永倉も歩く足を止めてその音の発生源に目を向ける。
すなわち悠奈のお腹。
さっきのものすごい音は悠奈の腹の鳴る音だったのだ。
(……ああ……鳴っちゃったよ……)
悠奈は予想外に大きく鳴ったお腹の音に恥ずかしくなって顔を耳まで真っ赤にして俯いていた。
「……すごい音だったな……」
永倉が呆然と言う。
「悠奈君ってそういえばここに来てから何か食べましたか?」
沖田にそう聞かれたので悠奈は首を横に振る。
そして、
「……昨日の朝から何も食べていません……」
と、蚊のなくような小さな声でそう付け加えた。
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