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「昨日の朝から何も食べてなかったんですか!?」
驚いたように言う沖田。
そしてすぐに、何度も頷いて、
「それなら鳴ってしまいますよね。
一日以上何も食べないのは辛いことですし」
と、沖田は納得するように言う。
悠奈はさらに恥ずかしくなってもし穴があったら入って隠れてしまいたいような気分を味わった。
「……でも、さっきの腹の音、男らしかったぞ」
永倉は悠奈があまりにも恥ずかしがっているので気を使ってそう言った。
悠奈は俯いている顔を少し上げて永倉を見た。
悠奈は自覚がなかったが、永倉から見たら丁度悠奈は上目遣いで彼を見ていた。
悠奈の頬はほんのりと赤くて目は涙目になっているため潤んでいる。
永倉は悠奈が男だと知っているのにも関わらずその様子があまりにも可愛らしく女にしか見えなくて不覚にもドキリッとしてしまった。
〈嘘だろ……。おい……。
俺、男相手に何ドキドキしているんだよ……〉
だが永倉はすぐに我に返り、自分に言い聞かせた。
自分は男ではなく女が好きだと。
悠奈はというと永倉の心の内など知るはずもなく、
(男らしいって初めて言われた。
ちょっと嬉しいかも……。ちょっぴりだけどさ。
でも、こんな情けない理由じゃなくてもっとカッコいいことして男らしいって言われたかったなぁ……)
と、思っていた。
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