稽古

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「これじゃあ、稽古をしても倒れちゃいますね」 と、沖田は明るく面白がっているように言った。 いっそ倒れてしまうまでやっても面白そうかも、と沖田は酷いことも考えていたが、 悠奈は沖田が笑顔を浮かべているのにそんな人でなしなことを考えているとはまったく知らず、 (確かに……今、やったら絶対に5分ももたないよ……) と、悠奈はそう思って、こくん、と頷いた。 「どうしましょうか。 昼ですけど、まだご飯まで半刻(一時間)ほど時間があります。 我慢できないのでしたら、店で食べましょうか?」 悠奈は沖田のこの言葉に嬉しく思った。 ご飯を食べれることもあるが、店で食べるということは昔の町並みを見ることができる。 そのことで悠奈の心は踊った。 しかし、 (……あっ……僕、お金持ってないや……) と、思い出してしまう。 確か、財布は学生鞄の中ー…。 鞄は残念ながら家にある。 ここは幕末でもちろん平成にある家には帰ることはできない。 悠奈は絶望にガックリと落ち込んだ。 「どうしたんですか?悠奈君」 突然ひどい落ち込み方をした悠奈を沖田は心配そうにひょいっと彼の顔を覗きこんだが、髪に隠れて顔を見ることができなかった。 「ごめんなさい……行きたいんだけど、僕……お金を持ってません……」 ボソボソと近くにいた沖田がやっと聞き取れるほどの小さな声で悠奈は言った。 例え悠奈が金を持っていたとしても、昔の金と今の金は違っているので、意味はなかったと思うが悠奈は気づいていなかった。 ,
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