4559人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、私が奢りますよ」
沖田が落ち込んだ悠奈を元気づけるように言った。
「でも………」
しかし、悠奈は困ったように頬を掻く。
いくら相手が奢ってくれるとはいっても昨日、今日出会った人に奢ってもらうのはなんだか気が引けた。
「……沖田さんに申し訳ないです……」
悠奈はそう言うと、沖田はカラカラと笑う。
「そんなこと気にしなくていいですよ。
せっかくですから午後の仕事をサボ……じゃなくて、悠奈君とお出かけできるんですし」
沖田は慌てて言い直したが、彼は午後の仕事をサボる気満々だと悠奈と永倉に十分伝わった。
永倉はいつものことだて諦めに似たため息をついて、悠奈はというと、
(仕事サボったりして大丈夫なんかなぁ……)
と、心配をしていた。
「……沖田さんが……用事があるのでしたら一刻くらい我慢します……」
やっぱり仕事をサボらせるのは沖田さんにも自分にも悪いと思って丁寧に悠奈は断った。
(正直、もう限界なほどお腹ペコペコなんだけど、僕も男だ。
一刻って何時間かわからないけど、我慢しよう)
悠奈は決意を固めぎゅっと拳を握り締めた。
,
最初のコメントを投稿しよう!