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さっきまでは、不機嫌な顔をしていた沖田は一変、すぐに笑顔に戻る。
「……そうですよね。
斎藤さんは、真面目ですもんねぇ……。
冗談もあまり通じませんし……」
沖田は、どうしょうか考える。
そして、何か思い付いたのか、ポンッと手を叩いて、
「永倉さん、悠奈君。
道場に行きましょう。
そして、斎藤も誘いましよう」
と、元気よく言う。
「だけど、斎藤さんは……」
永倉は、斎藤は真面目だから無理だろうと言おうとしたが、
「大丈夫です。
私に考えがあります。
さっ。行きましょうか!」
沖田は、永倉の言葉を強引に遮る。
永倉と悠奈の二人の着物の袖を掴むと、元気よく沖田は歩きだした。
沖田に連行されるように連れられいる永倉と悠奈は、今の沖田に逆らっても無駄だとわかっているので大人しく引っ張られている。
(また、あの道場に行かなきゃダメなんだ……)
しかし、悠奈は憂鬱な気分だ。
できればもうあの道場に足を踏み入れたくないと思っていたからだ。
その時ふと、視線を感じた。
視線の方を見てみると、永倉がじっと悠奈を見ていた。
少しの間お互いに目を合わせていたが、やがて二人は苦笑をした。
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