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斎藤の普段は絶対に見せない間抜けな反応に沖田は、一瞬驚いて彼を見つめていたが、
「……プククッ……斎藤さん……“はっ?”て…ちょっと可愛いです……クククッ…」
沖田は吹き出してしまう。
斎藤に悪いと思って、口元を押さえて控えめに笑っていたが、あまり効果がなく、笑い声が洩れていた。
自分の間抜けな反応と、可愛い呼ばわりされたことに斎藤は恥ずかしさに顔を真っ赤にした。
しかし、他の隊士達がいる中そんな自分の姿を見られたくなかったので斎藤は顔を見られないように俯く。
しかし遅かったらしく、永倉は驚いて、隊士たちは打ち合いの手を止めて俯いた状態の斎藤を見ていた。
沖田はというとようやく笑いが収まったらしく、笑いすぎて微かに痛むお腹を擦る。
そして、沖田はさっきまで煩かった道場内が静かだと気づいた。
「どうしたんですか?皆さん。
斎藤さんは休めなんて一言も言ってませんよ。
休んでいるなら私の稽古の時、ビシバシと殺っちゃいますからね♪」
その脅しのような沖田の言葉を聞いて、隊士たちは慌てて止めていた竹刀を振り、打ち合いを再開させる。
隊士たちは全員沖田の言葉に明確な殺意を感じたからだ。
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