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沖田は隊士達が稽古を再開したのを見て満足そうに頷いた。
そして、俯いている斎藤の腕を掴み、
「斎藤さん、ご飯食べにいきましょう♪」
そう言うと、ぐいぐいと強引に腕を引っ張った。
「……!ま、待て。沖田殿。
まだ、仕事中だ。
途中で放棄することはできない」
斎藤は、はっと俯いていた顔を上げて慌てて言った。
顔を俯かせている間に冷静になったのか、もう顔は赤くなかった。
「そんなのいいじゃないですかぁ。
今日は暑いですから、早く終わってくれた方が隊士の方々も喜ぶかも知れませんよ?」
沖田は斎藤に囁くようにそう言った。
今日はまだ春なのだが気温が高い。
そのせいか道場内はうだるような暑さになっている。
こんな中稽古をしたい人はあまりいないだろう。
斎藤もそうだったらしく、うっ…と小さく呻く。
それを見た沖田は手応えありと、心の中で黒くほくそ笑んだ。
しかし表では爽やかな笑顔を作り、
「それに今日は斎藤さんの大好きな蕎麦を食べに行こうと思っていたんですよ。
そして、甘味も……」
と、沖田は続けた。
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