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「うっ…ぐっ…」
斎藤が蕎麦と甘味という言葉に反応した。
沖田が斎藤の顔を見ると、顔は無表情のままだったが、目が泳いでいた。
それを見て沖田は斎藤の心が揺らいでいるとわかった。
〈あともう少しですね……〉
と、沖田は判断する。
「斎藤さん。
・・
今日は私が全部奢っちゃいますよ。
ですから行きましょう!」
と、沖田は満面の笑みで言った。
斎藤は、暫くの間沈黙していたが、
「……行く」
と、斎藤は小さく呟く。
蕎麦と甘味も魅力的だったが、奢るという言葉が斎藤の心を完全に動かした。
沖田はこの結果に満足して頷く。
「は~い、打ち合い止めてくださ~い❗」
沖田がそう言いながらパンパンと手を叩いた。
沖田の言葉が耳に聞こえた隊士たちは次々と打ち合いを止める。
聞こえなかった隊士達も周りの様子に気づいて打ち合いを止めた。
隊士たち全員の目線が沖田に集中する。
「今日の稽古は終わりです。
お疲れ様でした」
沖田のその言葉を聞いて隊士たちは挨拶をする。
「それじゃあ斎藤さん、永倉さん。
行きましょう‼」
沖田はテンション高く言った。
永倉と斎藤は頷いて、三人は道場を出ていった。
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