稽古

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ーーーーーーーーーーーーーーー 時は少し戻りーー 沖田と永倉が道場に入っていった後、悠奈は一人木陰で涼んでいた。 太陽の日差しで気温は高いが、風が冷たいので影にいれば涼しい。 悠奈は、木に背中を預けて茶色い土の地面を眺めていた。 (……何で僕は幕末に来てしまったのだろう……) 悠奈は一人そう考えていた。 答えは見えない。 何で自分なのか…… もとの時代に帰れるのか…… 全くわからない。 (……このまま帰れなかったらどうしょう……) 悠奈は、不安になりそんなことを考えてしまったが、すぐにその考えを忘れようとするかのように首を左右に強く振って、 (…だめだ。そんなことを考えては……。 帰れる。僕は帰れる。) と、無理矢理前向きに考える。 そうしないと、不安で心が押し潰されてしまうような気がしたから……。 前向きに考えて少し気持ちが落ち着いた悠奈は、小さなため息をついた。 ,
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