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「あら、あなた見ない子ねぇ」
ﾋﾞｸｩｯ！
悠奈は突然声をかけられてかなり驚いた。
地面を見ていた視線を上げて声をかけた相手を見た。
悠奈に声をかけたのは、見た目三十代後半から四十代くらいのふくよかな体型の女性だった。
質素な着物を襷(ﾀｽｷ)掛けにしていて、手には水の入った桶を持っている。
その女性は悠奈がかなり驚いたことに一瞬固まったが、すぐにﾜﾊﾊと豪快に笑いだした。
悠奈の反応が面白かったらしい。
悠奈はというと驚いたせいでﾊﾞｸﾊﾞｸと脈を打っている。
それを静めるように悠奈は右手で軽く胸を触れる。
女性が笑い終わるころにはだんだん落ちついてきたけど、
(初対面の人に笑われる僕って………)
と、悠奈は落ち込んでいた。
悠奈が落ち込んでいるということを女性は見てわかったのか、
「悪かったねぇ、いきなり笑ったりして」
と、軽く謝る。
「……あの………いえ……ご、ごめんなさい……」
相手から突然謝られたので悠奈は慌ててしまっていつもの癖で自分も謝ってしまう。
謝ってしまってから、またやってしまったと悠奈は気づいた。
(……必要以上に謝るなって言われてたのに……)
土方に言われたことを思いだした悠奈は再び落ち込んだ。
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