稽古

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「あ、あんた!! なんでいきなり謝るんだい!? 別に悪いことなんてしてないだろう?」 女性はかなり驚いた様子で言った。 「……えっ……あっ……はい……」 悠奈は女性の驚き方に圧されてちょっと引きながらモゴモゴと言う。 女性は悠奈のハキハキしない様子に眉をひそめた。    ・・ 「私はふねというのだけど、あんた、名前は何ていうんだい?」 女性ーーふねが悠奈にそう言った。 「………神谷崎……悠奈……です」 悠奈はボソボソと小さな声で言った。 小さかったがちゃんと悠奈の声を聞き取ることのできたふねは、ニッコリと人の良さそうな笑みを浮かべた。    ・・・ 「悠奈ちゃんね。可愛い名前ねぇ。 あんたが新しく来た女中さんかい?」 「へっ?」 ちゃん呼びされたこともあったが女中という聞き覚えのない言葉に悠奈は首を傾げた。 悠奈のその反応にふねは少し目を開いて、 「違うのかい?」 と、聞いてくる。 「……違うと思います。………僕は…近藤さんの……小姓です」 悠奈がそう言うとふねは予想外のことだったのかあんぐりと口を開けた。 ,
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