4559人が本棚に入れています
本棚に追加
「何か言いましたか、永倉さん？」
急に沖田が永倉にそう聞いてきた。
永倉は沖田のその言葉に固まる。
「いっいや、なにも言ってねえよっ！俺は」
しかし、すぐに永倉はそう言った。
かなり挙動不審だったが……。
それもそのはず。
永倉の心の中は、
〈さっきのことは口に出して言ってないのに、なんでわかったんだよっ!!〉
と、パニックになっていた。
「本当ですかぁ～？
何故か顔に私は言いましたと書いてあるんですけどー」
沖田は疑うような目線で永倉を見た。
永倉は無意識のうちに顔に触れて、
「いや、本当に言ってないから!」
と、沖田を説得するように言う。
しかし、永倉は冷や汗ダラダラで挙動不審。
怪しいことこの上なかった。
沖田はジトーと据わった目で永倉を見つめる。
永倉はもう限界だったー…。
その時、
「沖田殿。永倉殿は何も言ってなかった」
と、今まで黙って二人の様子を見ていた斎藤が助け船をだしてくれた。
〈斎藤さんー…〉
永倉はｳﾙｳﾙとした目で斎藤を見た。
沖田に追い詰められて絶体絶命の時、その時にそう言ってくれた斎藤は永倉にとってまさに天からの助けであった。
,
最初のコメントを投稿しよう！