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「そうかい、わかったよ。
みんな、楽しんで行ってきなよ」
と、ふねは悠奈達四人の顔をしっかりと見て言った。
「おふねさんにもお土産を買ってきますね」
と、沖田が言ったので、ふねは嬉しそうに笑い、
「楽しみにしているよ」
と言った。
そして、会話が終わったのでふねは
「それじゃあ、私は仕事に戻るよ」
と、言って立ち去ろうとしたが、
「あっ、おふねさんちょっと待って下さい」
と、沖田はふねを呼び止める。
ふねが立ち止まると、沖田は懐から湯飲みを取り出した。
悠奈が落として拾った湯飲みを沖田は懐の中に入れていたらしい。
「申し訳ないんですが、ついでにこれを持って行ってくれませんか?」
沖田が‘これ’と言いながら湯飲みを差し出すと、ふねは嫌な顔一つせずに湯飲みを受け取り、仕事に戻るため立ち去った。
ふねがいなくなり、今、ここにいるのは、悠奈と永倉、斎藤、沖田の四人。
沖田は、パッと三人を見て顔をキラキラと子供のように輝かせて、
「それじゃあ、行きましょう!!」
と、テンション高く言うと、ルンルンと歩きだした。
永倉、斎藤はお互い顔を見合せクスリと笑って沖田の後に続き、悠奈は、
(幕末の京都の町に行けるんだ。
楽しみだけどちょっと怖いなぁ……)
と、ちょっぴりの不安と、大きな期待に胸を膨らませながら、三人の後を追いかけた。
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