散策

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ーー副長室。 土方は、自室で一人煙管(キセル)を吹かしながら思案に暮れていた。 見つめているのは、漆黒の刀。 現代から悠奈がこの時代に持ってきた刀だった。 土方が見つめているのは刀の家紋が彫られている部分。 〈神谷崎悠奈……。 大体のことは詮議でわかったが、まだ何かを隠している。 一体、何を隠しているんだ?〉 土方がそのように考えている時、頭上で微かにカタリッという音がした。 「山崎か? 丁度よかった。 降りてきてくれ」 土方は頭上を見ずにそう言った。 すると、シュタっと音を立てて、黒い影が降りてきた。 降りてきた黒い影は、黒装束に身を包んだ男。 この男は美丈夫や、カッコいいというよりも愛敬がある親しみやすいという言葉がしっくりとくる顔立ちをしていた。 現在彼は、人のよさそうな笑みを浮かべている。 彼のその笑顔を見て、不快に思う人はいないだろう。 彼の名は山崎烝(ヤマザキ ススム)という。 この壬生浪士組の監察方だ。 ,
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