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「家紋があるんだが、どこの家紋かお前は知らないか?」
と、土方は煙管を吹かしながら聞いた。
山崎は刀の家紋を見て、眉をひそめ、首を傾げた。
山崎は、家紋に心当たりは全くなかったのだ。
「いや、知りまへんなぁ」
なので正直に知らないことを土方に言う。
その言葉を聞いた土方は、難しい顔をして、フーと煙を吐き出した。
そして土方は、
「山崎、お前にこの家紋のことを調べて欲しい」
と、言った。
「確か、この刀の持ち主は神谷崎悠奈ちゅう奴やったな……」
山崎は悠奈のことを思い出しながら、刀の家紋を眺めていた。
土方はフッと笑って、
「山崎、お前あの時の話を聞いていたのか?」
と、面白そうに聞く。
それに山崎はニカッと笑って、
「はい、屋根裏でずっと聞いてはりました。
ついでに、神谷崎のことはずっと見張っていたんやけど、その間は特に怪しいことはしていなかったで」
と、楽しそうに言った。
それを聞いた土方は顎に手をやり、そうか、と小さく呟く。
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