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「ここの店のお蕎麦はすっっっごく美味しいんですよ!」
沖田は両手をギュッと握り締めて、美味しさを力強く表現した。
沖田がそこまで言うのだからよほど美味しいのだろう。
悠奈、永倉、斎藤は、これから食べる予定の蕎麦に対して期待を寄せた。
(蕎麦かぁ……。
そういえば、しばらく食べてなかったなぁ……。
フフ、楽しみかも)
と、悠奈は小さく微笑みながら、そんなことを考えていた。
それは、斎藤も同じらしく、
「うむ、確かにここの蕎麦は旨い。
一度食べに行ったことがあるが、今まで食べた蕎麦の中でここが一番であった。
だが、ここの蕎麦はその美味しさ故か他の店より少し高いの……」
と、いつになく斎藤は饒舌(ジョウゼツ)に語った。
蕎麦を語る斎藤は無表情が完全に崩れ、キラキラと子供のように目を輝かせていた。
だが、永倉が斎藤の変わり様にポカンとしているのに斎藤はハッと気がついて、斎藤は恥ずかしくなったのか、語るのを止め、顔を真っ赤にして俯く。
そんな斎藤の様子を微笑ましく見ていた沖田だったが、
「さあ、いつまでも店の前にいても迷惑ですし、中に入りましょうか!
私はもうお腹ペコペコです」
と、沖田は自分のお腹を押さえながら言った。
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