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悠奈が『どうして……』と言おうとする前に、沖田はグッと悠奈の方に身を乗り出してきて、
「悠奈君、君はお腹が空いているはずなのに遠慮なんてしてはいけませんよ」
と、沖田はそう言うとニッコリと笑った。
「そうだぜ~、せっかく総司の奢りなんだからさ、思いっきり食べないと」
永倉もそう言うと、湯飲みを持ちお茶をグイッと一気に男らしく飲んだ。
しかし、お茶が熱かったらしく、永倉は途中でゴボッとお茶を吐き出してしまった。
そして、彼はゴホゴホと何度も咳をする。
永倉の目の前に座っている斎藤は無表情でお茶を飲みながらその様子を見ていた。
ただ、心の中では
<馬鹿じゃないのか?>
と、思っていた斎藤だが、無口な彼がそれを言うことはない。
「馬鹿ですね。熱いお茶をあんな勢いで飲んだら噎せるのは当たり前じゃないですか」
斎藤が思ったことを沖田が代わりに言う。
「しょうがないだろ。
喉が渇いていたんだから……」
そう言う永倉の表情は不機嫌そうだ。
舌を火傷したのか、永倉は口をモゴモゴさせていた。
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