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(う…うう…。
…気まずいなぁ……早く蕎麦きてくれないかなぁ)
と、悠奈は思いつつ女性店員がいるらしき方を見てみたら、彼女は重ねてある笊蕎麦を持ったまま固まっていた。
まだ、笊蕎麦を地面に落としてないだけマシなのかも知れないが、悠奈からすればあんなとこで突っ立っておらず早く我に返って自分の仕事をして欲しい。
(なんで、皆こんなにマジマジと見るんだろう……。
あ、そっか。
僕が不細工だから、皆驚いているんだね……)
悠奈はまた、自分が不細工だと勘違いをして、何の疑いもせずにそう納得した。
(綺麗とか思われるよりはマシだけど……。
こんなに注目される不細工も嫌かも……)
と、悠奈は思いため息をつく。
横目で悠奈を見ていた斎藤は、悠奈が深いため息をついていのを見て、微かに目を見開いた。
そして、斎藤は無言でゆっくりと立ち上がる。
何をするんだろう、といった顔で悠奈は突然立ち上がった斎藤を見上げようとした時、悠奈の頭にポンッと大きな手が置かれた。
斎藤の手だ。
彼は悠奈の頭を優しく撫でる。
斎藤の手のひらは暖かくて、撫でられるたびに悠奈は不安や恐怖が徐々に消えていった。
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