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(………あっ、しまった……)
考えているうちに気がついたらもう、8時40分になっていた。
ホームルームはすでに始まっている。
(なんで僕はいつもこう……)
自分の不甲斐なさに情けなくてため息をついてしまう。
「とりあえず、ベッドから下りよう……」
悠奈は自分自身に言い聞かせるように呟いた。
悠奈には、一緒に住んでいる家族はいない。
母は物心がつく前に亡くなり、父も二年前、不慮の事故で亡くなった。
だが、高校を卒業するまでの生活費は残っていた。
そのおかげでバイトをしなくてもなんとか生活していけた。
父も母も頼る親戚がいなかったので、父の友人だった内藤 恵子さん。通称、恵子姉さんが悠奈の保護者の代わりだ。
恵子姉さんも悠奈も近くに住んでいるのだが一緒には住んでいない。
父の友人という関係でしかないのにまるで実の姉のように厳しく、優しい恵子姉さん。
悠奈は恵子姉さんを本当の姉のように慕っている。
なのに何故一緒に住まなかったのは悠奈がここを出たくないと言ったからである。
恵子姉さんは悠奈の意思を尊重してくれた。
そのお陰もあって悠奈は思い出のあるアパートで今も暮らしている。
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